訳あってピエール・ブルデューの『ディスタンクシオン』を読み直している。そして、毎度のことながら、そのやっかいさに忌々しさを覚えている。
そこで、たまたまAmazonで見かけた石井洋二郎さんの『差異と欲望ーブルデュー『ディスタンクシオン』を読む』を手に入れて、合わせて読んでみたところ、するすると流れるように理解できる気がするではないか!
本書の初版は1993年。博士課程2年次で、私がちょうどブルデューの難解さに歯が立たず、絶望していた頃である。本書を導き手に読み進めていたならば、もう少しまともな博論が書けていたかもしれない。とすると、私の人生ももう少しまともになっていたということではあるまいか。
そう考えると、一冊の本が人生に与える影響はただならぬものであるという気がしてくる。
石井洋二郎さんの著作はどれもわかりやすく、美しい文章なので、とても好きなのでけれど、なぜこの本を手に取らなかっだのだろう?今この時期に出会ったことに意味があるのかもしれないと思うことにしよう。
ちなみに、東大の学位伝達式の祝辞もすてきである。
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/…/…/2013-2015/h27.3.25ishii.html