一昨日のオランダのリュッテ首相のスピーチを聞いて、膝から崩れ落ちるような気持ちになった。
三月末からコロナウィルスの感染者、重篤者、死者が着実に減少していたので、もしかしたら四月末にはロックダウンの政策が緩められるのではないかと、淡い期待を抱いていたのだ。
しかし、リュッテ首相は、初等教育の再開やスポーツの自主練習を五月始めに指示したものの、他の分野に関しては、五月二十日に改めて案内するとのこと。
日本ではどこの図書館も閉まっていることを考えると、貸し出しだけならば可能なライデン大学の図書館を利用して在外研究を続けたい気もする。
そうは言っても、現状ではオランダに親戚がいるか、オランダ国内外の物流に携わる人しか入国できないのだから、あれこれ考えるのは、意味がないのかもしれない、と行き場のない思いが頭の中を占めている。
私などの不安はちっぽけなもので、日常を奪われ、明日の生活すら継続できるのかを案じている方たちが世界中にいる。
そんな思いに囚われながら、すがるような気持ちで、南房総のキャベツ、じろえむさんの卵とマヨネーズでお好み焼きに、千倉の青木屋酒店さんで手に入れた菅谷ぶどう園の巨峰のワインを開ける。毎度のことながら、南房総の方々に身体も精神も支えられる日々である。
甘くないファンタのような紫色のぶどうの飲み物が優しく食道を流れていく。東京という消費地にかりそめにも滞在している私は、消費することしかできないのでしょうか。自分の無能さを恥じながら、紫色の泡にまみれる夜。